突然ですが、うれしいような、そして、寂しくも感じることが起きました!
うちに昨年の春より、かれこれ1年近くフォスターとして滞在していた
グレイハウンドのミックス、Chanceが、つい先日、新しい家族のもとへと、
旅立ちました。
うちのシェルターは、2年前までは、テキサスの大多数の市経営のシェルター
同様、不幸にしてやってきてしまった犬たちは、短期間のみ滞在を許された後、
ほぼ自動的に安楽死させられていました。現在、市経営シェルターの中では
ありえないと言われる90%以上の犬たちを救っている私たち。しかし、数年
前は、まだまだ現在の状況からは、ほど遠い、厳しい状態でした。
チャンスは、そんな2006年の夏、まだ生後6ヶ月にもならない若さで
うちのシェルターにやってきました。アメリカ中のシェルター、レスキュー
グループの中で、最もアダプションが難しいと言われる、黒い大型犬の
子犬として。数々の子たちが、次から次へと安楽死させられる中、幸運
にも、チャンスは、その安楽死させられる子たちのリストの目から漏れ続け
シェルターの暗いコンクリートの檻の中でも、すくすくと育っていきました。
2007年の春、うちのシェルターは突然の、州による抜き打ち監査に
落ちるという結果になり、直後、当時まだそこに存在していた40匹
近くは、もらわれる可能性が高い12匹を残し、全員安楽死させること、
という衝撃の結果に直面することとなりました。そして、私は、その12匹
を選ぶよう言い渡されたのでした。
その時点で、とても不利だったのが、2006年からの唯一の生き残りの
チャンスと、ブラックジャーマンシェパードミックスのSuzieでした。私は、
引越しした直後で、まだうちが全く軌道にのるどころか、何もない(あるのは
土地のみ)状況にもかかわらず、この子たちを見捨てることがどうしてもでき
ませんでした。いつものごとく、後先を全く深く考えず、なんとかなるに違い
ない、という根拠の乏しい信念だけで、当時やはり一過性の皮膚病に犯され
ていて、すぐにはアダプションが難しく、安楽死のメンバーになりうる3匹の
ジャーマンシェパードとラブのミックスの子犬たちと、前片足が折れてしまって
いた3本足の若いハウンドのミックスのB.B.、そして、当時すでにフルに成長
してしまっていた70パウンド近いチャンスと、スージーの全員を、ピックアップ
に乗せ、うちに連れて帰りました。2007年の春の終わりのことでした。
その後、他の子たちが、次々と、かわいがってくれる新しい家族のもとに
旅立っていく中、賢く、とても愛情に満ちあふれたチャンスは、大きな黒い犬、
という外見と、ありあまるスタミナを持ち、レースからハンティングに使われる
最もハイエナジーなハウンドという犬種が災いし、欲しい!という人が、全く
現われないまま、2008年を迎えました。現在、うちのシェルターを
陰から、とても支持してくれているオースティンのレスキューグループなどは、
チャンスを自分たちのウェブサイトで、featured dog(注目の犬)として、
大きく取り上げてくれたりしました。それでも、反響はゼロでした。
そんな中、先週私に1通のイーメールが届きました。差出人は、今年の1月、
10歳という高齢で捨てられた、Karma(カルマ)というオーストラリアン
シェパードのミックスをアダプトしてくれた、50代半ばのご夫婦からでした。
ご主人は、難病として知られるPerkinson disease(パーキンソン病)を
わずらいながらも、静かな笑顔がとても印象的な方で、奥様は、そんな
ご主人を、一生懸命支える、たくましい典型的なテキサンで、私は、この
お二人のことを、とても鮮明に覚えていました。
ご夫婦の人柄が伝わるような丁寧に書かれたメールの中身は、カルマを
アダプトして以来、お二人の生活がどれほど満ち足りたものになったか、
そして、どれだけ幸せであるか、というもので、詳細を読むにつれ、どれだけ
現在のカルマが甘やかされ、そして、彼らから愛されているかが、ひしひしと
伝わってきました。カルマは、10歳という高齢にとても見えないほど、パワー
がありあまっている元気な女の子。そのカルマの遊び仲間として、2匹目を
アダプトを考えはじめ、2匹目もうちのシェルターから、と決めていたこと。
その中、チャンスが目にとまった、という内容でした
彼らは、オースティンの郊外在住で、チャンスが走りまわるのに十分で、安全
に柵をはりめぐらせた土地もあり、カルマ同様、チャンスは、夜絶対家の中で
眠らせるということ。その上、奥様は、在宅勤務で、常に家にいるので、十分
な世話が可能であることなどが書かれていました。チャンスを行かせるには、
十分すぎるほどの好環境で、拒絶する理由もなく、そうして、私たちは決心し、
チャンスは新しい家族のもとへ、旅立ちました。
すばらしい家族のもとへ、ようやくチャンスが旅立ったにもかかわらず私は、
チャンスが乗った、ご主人の車が去るのを見送りながら、ものすごい喪失感に
襲われました。チャンスと知りあってからの、1年半の数々の思い出が次々と
よみがえり、その全てが、本当にかけがえのないものばかりだったからです。
その日の私のスケジュールはとても詰まっていて、チャンスを送り出した直後も
私は、他の子たちを、オースティンのいくつかのレスキューグループにテイク
オーバーしてもらうトリップや、その他の子をアダプトしたい、という人たちとの
面接でいっぱいいっぱいで、めそめそしている暇はありませんでした。それらの
全てをこなし、そして、長かった1日が終わり、家に帰った私。喜び勇んで、
駆け寄ってくる9匹の子たち。その中には、もうあのチャンスの姿はありません。
うちに来るまで、家の中に入ったことがなかったのか、うちにやって来た最初の
1ヶ月は、テレビや、ceiling fan(天井についているファン)がくるくる回るの
を不思議そうに、何時間も、あきることなく、凝視し続けていたチャンス。
誰よりも早く、弾丸のように、1日中でも、土地内を、走りまわっていたチャンス。
ジャックの片腕として、強い統率力で、他の子たちの上に君臨していたチャンス。
大きなくせに、甘えん坊で、いつでも私のそばで寝たがっていたチャンス。
そして、私たちを、いつもたくさんたくさん笑わせ、幸せにしてくれたチャンス。
チャンスがいない、うちの風景。チャンスがついに、行ってしまった、という
事実は、想像以上に重く、私は寂しい気持ちでいっぱいになりました。
その私の気持ちを読み取ったかのように、その日の夜遅く、私は、チャンスを
アダプトしてくださったご夫婦から、早くもチャンスのアップデートに関する
メールを頂きました。メールには、チャンスが、すぐにカルマや、2匹の猫と
打ち解けたこと、とても、礼儀正しく静かに家や土地内を探索したこと、そして
(早速)ご夫婦のキングサイズベッドによじ登り、すでにすやすや眠ってしまっ
ているなどの詳細が書かれていました。そして、チャンスを選んだことに何の
後悔もないこと、ホームレスだったチャンスをここまで、すばらしい犬に
育ててくれて本当にありがとう、というお礼に、定期的に、チャンスがどうしている
かのアップデートをぜひ送らせて、というとてもありがたいオファーでした。
そのメールを何度も何度も読み返しているうちに、私の喪失感は、少しずつ
和らいでいくのが感じられました。チャンスは、あのご夫婦の下で、大切に
してもらえ、すばらしい人生を過ごしていけるんだよね!
チャンス、私たちを幸せにしてくれて本当にありがとう!これからは、新しく
家族となったご夫婦を、きっと幸せにしていくんだよね。たくさん、たくさん
お二人に、かわいがってもらうんだよー!